４月放送開始の「偽りの花園」（CX）が本日最終回を迎えた。「昼ドラに出るわよ」と陽子さんから聞いたのは、「ワールド・ゴーズ・ラウンド」で西宮へ来た時だった。歌手・今陽子のファンである私は、特別嬉しいという思いもなく、また、今までドラマでは重要な役柄はあまりなかったので、はっきり言ってあまり期待はしていなかった。
　初日、留守録を忘れて見逃したのだが、２日目からは毎日留守録、家に居る時は必ずリアルタイムで見る様になった。陽子さんの役はドラマの中では結構重要なポイント。主人公の２人の女優に継ぐ大切な役であり、全６５話で出て来ない日は１日だけだった。
　「偽りの花園」は４部構成となっており、陽子さんは１部から４部まで全て関わっており、後半になる程、役の重要さは増していった。ドラマは１９３０年から１９５６年まで、激動の中を生き抜いた主人公の物語で、陽子さんはその母親役を演じている。当然、２６年間を演じるわけである。
　 役柄は元・芸者の小料理屋の女将なのだが、若いうちは料亭を切り盛りする気っぷの良い女将から、後半は娘に料亭を渡し、隠居して老後を過ごす、また、年を取るに連れて人間も穏やかになって行く。それぞれの年代で、重要な役を演じながら、人生の流れを本当に自然に上手く演じていた。
　今まで、それ程ドラマや映画に出演したこともないが、今までのドラマは歌手・今陽子が演じているという感じであったが、今回のドラマは見ている中では、歌手・今陽子ではなく、ドラマ内の役柄、糸川丹そのものであった。着物姿も、本当に良く似合っており、いつもステージで歌っている姿とは全く違ったものであった。
　ドラマ自体も回を追うごとに面白くなり、毎日、次の回を楽しみにする様になってしまった。昼ドラなんて見ることはないのに。最後の最後まで引きつけられたが、主人公は収まるところに収まってハッピーエンドに終わった。昭和という時代をもう一度思い出させてくれた意味でも興味あるドラマであった。何だか、これで終わってしまうのかと思うと、寂しい様な、４月が遙か昔の様な…。もう、観れないんだよね。今、４月初めからの出番をＤＶＤにまとめていると、そんな感傷に浸ってしまう。
　３ヶ月、これだけの役をこなした陽子さん。結構、大変だったと思う。ミュージカルの時でもいつも「歌になるとホッとする」と言っている陽子さんが、純粋な芝居に出演して、これだけの熱演。これで、女優・今陽子も世間に印象づけられ、仕事の幅が広がると良いな。でも、やっぱり歌手・今陽子が本職と言うとで。
　今日は、久しぶりに銀座スイングでジャズライブがある。残念ながら、私は行けないが、「偽りの花園」の苦労話や裏話が、陽子さん特有の面白おかしいＭＣで語られることは間違いないだろう。(2006.6.30)

（※　画像は「偽りの花園」公式ホームページより）