昨年、東京でのみ公演され好評を博した「ボーイ フロム オズ」。今年は大阪でも公演されると言うことで楽しみにしていた。事務所にお願いして２３日のチケットを取って頂き、行って来た。天気予報は雨。出待ちするのに雨はやだなあと思いつつ、傘を持って出掛けた。三宮で買い物をした後、阪神で梅田へ向かう。会場の大阪厚生年金会館は四ツ橋線、西梅田は阪神が便利だ。
何故か今日の会場は大ホールではなく、芸術ホール（元・中ホール）。大ホールの左脇の階段を上がって行く。青山劇場では華々しい看板も掲げられ、雰囲気満点の様子だった。大阪でもそんな雰囲気を写真に撮ろうと勇んでカメラを持って行ったのに、何の飾り付けもない。会場に入っても中ホールなので、ロビーも狭い。３つしかない女性トイレは長蛇の列だ。中休みの時は外出券を配って、大ホールのトイレにも誘導しており、スムーズだったけど。 パンフレットは２０００円と聞いており、高いとは思ったが、今日、同じ空間で舞台を拝見した証しに、出来れば陽子さんにサインをして頂きたかったので買ってしまった。パンフレットの写真は役柄もあり、実際よりも年上に写っていたが、リハーサル風景などの写真はいつもの若々しい表情が載っていた。 陽子さんの役は主人公ピーターの母親、地味な役だけど、凄く良い役所だったと思う。ひとり、芸能界の人間ではない役というのが返って目立っていたりした。ピーターとのやりとりのシーンも、子どもを思うとても優しい母親像が良く出ていて、子どもを持たない陽子さんが凄いなと役者魂に感心した。本来の「今陽子」は、派手なジュディガーランドやライザミネリのイメージだと思うが、このミュージカルの中では「今陽子」ではない「マリオン・ウルーノー」そのものだった気がする。自分とは正反対の人物をこれだけ好演していたことに女優としてもとても頼もしく感じた。地味な役だから余計光る部分があったと思う。 歌は言わずもがなだが、ちょっとナンバーが少な過ぎ。せめて４～５曲は歌って欲しかった。やっぱり、陽子さんが歌うと場が引き締まる。最後の「泣かないで」はもう最高だった。歌というより、台詞にメロディをつけたという感じ。語りかける様に歌ってた。そして、最後は熱唱。舞台のラスト近く最高の盛り上がりだった。台詞の時は田舎の母ちゃんなのに、歌い出すと、無茶苦茶上手いというギャップがまたたまらなく良かったな。あんなに歌がうまい田舎の母ちゃんはいないよね。最後の「世界はリオ」は「今陽子」に戻って、思いきり楽しんで歌い踊っている様で、見ているこちらまで楽しくなってしまった。 ミュージカル全体で見ると、失礼ながら坂本君を知らなくて、「キャバレー」の錦織が酷かったので、「どうせジャニーズ」くらいに思っていたのだが、なかなか歌もうまくて声も良いし、凄くハンサムってわけじゃないんだけど、何か格好良くて魅力的な青年だった。モテるだろうね。後ろのおばさんも同じこと言っているので、おかしかった。 鳳蘭さん、紫吹淳さん（ライザのイメージ、ぴったり）も舞台を華やかにしてくれていたし、全体的に良く出来たミュージカルだったと思う。ただ、何故か厚年の芸術（中）ホールだったので、舞台作りが東京よりかなり縮小されていたみたいだ。陽子さんも終演後「東京はセリもあってもっと良いんだけどねぇ」とおっしゃっていた。なんで大ホールでしないのかな。客は入るだろうに。本当に残念。 客層も東京はジャニーズファンに占拠されている感じだった様だが、関西はそれ程でもなく、宝塚ファンもそれ程でもなく、いろんなファンがまんべんなく入っていた様に思う。純粋にミュージカルファンという人も多かった様だ。年輩のお友達連れや、男性客もかなり入っていた。 終演後、いつもの様に楽屋口へ。厚生年金会館の楽屋は通い慣れたものだ。通りから少し脇道に入る。楽屋口には、いつもはいない係の人がいて、「出待ちなら道まで出て待って下さい」と言われたが、道まで出ていたらタクシーで出て行ってしまう恐れがあるので、中間くらいで楽屋口を気にしながら待っていたら、すぐに聞き慣れた声がして来た。舞台が撥ねてから１５分くらい。陽子さんは出て来るの早いので有名だが、これ程早かったことは今までなかった様な…。ここはもうマリオンではなく、いつもの若くて素敵な陽子さん。声を掛けると誕生祝いのＷｅｂメールのお礼を言ってくれて少しお話出来た。「最後の歌、いろんなブログで絶賛されていますよね」と言うと「どこを見るの？」と言うから、「『今陽子』と入れてブログで検索すると見れますよ」と言うと「まだまだパソコン勉強中だからね」と言って笑っておられた。本当にファン以外の方から褒めて貰えるのって、自分のことの様に嬉しい。
３３年前、最初にナマで陽子さんを拝見したのが、大阪厚生年金会館だった。上條恒彦さんとのジョイントコンサート「ツードアショー」（労音）のアンコール公演だった。帰り道に偶然「楽屋口」を見つけ、入って行くと受け付けでも何も言われず楽屋まで入っていけたのだった。楽屋の前にはファンが数人いて、陽子さんはにこやかに話をされていた。その頃は、私の存在など知られていなかったので、声もかけて貰えなかったけど、目の前にあの憧れの人がいて、マイクを通さない声を聞いていることが信じられなかった。その後、なんだかんだといろいろあった厚生年金会館。ここに来る度にいろんなことを思い出す。 「ワールド・ゴーズ・ラウンド」の時も宝塚ファンが結構出待ちしていたので、今日はもっと凄いと覚悟していたけど、ファンは殆どいなくて、ちょっと拍子抜け。道には若干、多分坂本ファンの若い女の子がいて、タクシーの陽子さんに手を振っていた。陽子さんもタクシーの窓を開けて手を振ってあげていた。 終演が２１時３０分を廻っており、神戸の最終地下鉄に乗る為には、大阪を２３時２０分に出る新快速がギリギリ。ってことは四ツ橋を２２時５６分に乗らなければならないので、１時間ちょいで出来て来てくれないと会えないなあなんて思っていたのだが、こんなに早く出て来てくれたので、余裕で安い阪神で帰って来れた。 今年は、まだ年末に銀座スウィングで歌手としての陽子さんの歌を思いきり聴けるので楽しみだ。（2006.11.23） |
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